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久々の投稿になります。
今日は、イタリアの生ハムが長期に渡り輸入出来なくなっていることについて触れたいと思います。
始まりは2022年1月にイタリアでアフリカ豚熱に感染したイノシシが確認されたことでした。その後、養豚場でも感染した豚が見つかり農林水産省はイタリアからの豚肉、プロシュット、コッパ、パンチェッタ、サラミ等を含む豚肉加工品全般の輸入を停止しました。アフリカ豚熱は有効なワクチンや治療法が確立しておらず、豚は発熱や全身の出血性の病変を生じ収束の目途は立っていません。
では、いつからまたイタリア産生ハムを口にすることができるのか知りたいところですよね。感染が収束したとしても生ハムは熟成期間の短い物で9か月、当店で扱っているものは12~24か月熟成のもので、生産が再開されても恐らく2年間は手に入れる事ができないと考えています。また、輸入再開後も需要に対し供給が追い付かずに入手できなかったり価格が高騰する可能性が高いと考えています。
イタリア産生ハムは、PROSCIUTTO(プロシュット)と呼ばれます。
一般的に、生ハムと呼ばれているのはPROSCIUTTO CRUDO(プロシュット・クルード)と呼ばれる非加熱タイプで、同様の形状で加熱して作られるPROSCIUTTO COTTO(プロシュット・コット)と呼ばれるハムもあります。
日本ではローマ字読みで、プロシュートと呼ばれることもあり、初めて聞いた時はパラシュートが思い浮かんだのを覚えています。
特に有名なのは、イタリア中部のエミリア=ロマーニャ州のパルマ産のもので、PROSCIUTTO DI PARMA(プロシュット ディ パルマ)と呼ばれ世界的にもその名は知られています。当時、”生ハムはワインと違い屋内で造られるから作る場所が変わっても作り方や熟成方法の方が重要なのでは?”と考えていました。
私がイタリア滞在時に、パルマの生ハム工場の見学をしましたが、製造途中の生ハムが並ぶ光景は圧巻でした。パルマの気候と土地が他には無い味わいを作るというのは実際行ってみないとわからないと肌で感じました。
パルマ以外で作られる生ハムはノンパルマと呼ばれます。パルマ産と同じ製法でも他の地域の豚肉を使用していたり他の国を産地とするものではパルマ産とは呼べませんがパルマ産に似た美味しさを感じ方ができるものも多くあります。
ノンパルマだからこそ作り手の考え方が反映された個性のある製品も多数あります。
現に、イタリアで沢山の美味しいノンパルマ産生ハムに出会いました。
イタリア産の生ハムは入手ができなくなりましたが、お店では生ハム、サラミ各種を提供しています。使用しているものは主にスペイン産のものです。使用しているものは、世界三大ハムの一つであるハモンセラーノです(イタリアのパルマ産プロシュットも世界三大ハムの一つです)。
生ハム、サラミに関してはスペインやアメリカでも作られています。生ハムはイタリアの生産者がイタリア以外の工場で生産しているものもがあり、その他の加工品もスペインでイタリアのレシピを忠実に再現して生産しています。
見た目はイタリア産のオリジナルと比較すると小ぶりであったり、味の違いも感じますが、オリジナルをリスペクトして作られた高品質な製品が多いと感じています。
イタリア産生ハムは当面は口にすることはできませんが、マイナス面ばかりではないと考えています。普段イタリアンのお店では提供機会の少ないイタリア産以外の高品質な豚肉加工品を楽しむことができ、イタリア以外の取り組みや製造について私自身も学ぶことが多かったです。
お客様にも違いを楽しんでいただけたら幸いです。
オステリア デッラ ミゼリア
オーナーシェフ